プログラム構成(流れ)のご紹介(1)2023年12月03日 22:20

コンサート全体は16の部分で構成(全部で80-90分です)。器楽アンサンブルや、群読や、ソングや、パフォーマンスが組み合わさってできています。チラシ記載とは少し構成や題名が変わっているところがありますが、少しづつ流れのイメージをお話ししてみます。

1. 器楽四重奏「四行転定の楽」→ 群読「活真、四行、転定、・・・」
冒頭は、オーボエ・トロンボーン・鍵盤ハーモニカ・ピアノによる四重奏です。四行とは、木・火・金・水のこと。転定は「てんち」と読み、いわゆる天地のこと(一説では空と海のこと)です。曲(5分位)の演奏の後半で、"群読チーム"が登場し、舞台を歩き回りながら、昌益の独自の大事な用語を、空間に散りばめるように、読み交わしあいます。

2. 群読「面部の八門について」→ 歌「八門の形貌」→ 群読「八門の互性」
次のシーンは、顔のパーツのことが、群読チームにより読まれ歌われます。「八門」とは、眼や耳など顔の8つの器官のこと。(1)まずその部位の紹介をし、(2)八門が四行とどう対応しているか(昌益の文のなかでも詩的で美しいところです)を歌い、(3)さらに八門どうしの相互関係(「互性」)が所作をもって示されます。

3. ソング「エストレラス、エスメラルダ」→ 即興「炊気」
ボーカルの上野ゆみこさんが登場、河合の(1996年に作詞作曲した)「エストレラス、エスメラルダ」を歌います。歌詞のなかで、炊気のこと、星のこと、大きな時間・小さな時間の流れについて触れています。
さてその間に、舞台では炊飯器のご飯炊きがそろそろ佳境のはず。内田遼さんのトロンボーンが炊気・炊音と呼応し、辻菜津子さんも炊気とともに踊ります。

4. 群読「いろり」→ ソング「すいずいさー」
囲炉裏にあらわれている四行のエネルギー・相互作用の様子が、会話劇風に語られます。一方、新部健太郎さんが登場し、蒸らされたご飯を、そのエネルギーを摂取します。そして、群読チームと上野さんが、トロンボーン、ピアノ、パーカッションを交えて、河合のソング「すいずいさー」(2015年作詞作曲)を歌います。

プログラム構成(流れ)のご紹介(2)2023年12月03日 22:34

5. 器楽五重奏「四行妙道の楽」
器楽曲はすべて新作初演です。この曲では、先の四楽器にパンデイロ(ブラジルのタンバリン)も加わって、さまざまな取り合わせの合奏が展開します。音色や発音の仕組みから言って、かなり異なったタイプの楽器の組み合わせです。「妙道」は、四行のエネルギーの精妙な相互的働き、といった意味の昌益独自の用語です。

6. インストラクションによる即興「金気の響き」
四行のうち「金」の気。その響きをステンレスのボウルから取り出す。9名での合奏です。

7. 朗読&ダンス&ピアノ「諸獣会合」 → 器楽四重奏「猫何」
「自然真営道」のなかに、けものたちが"寄り合い"をして、人の世についてあれこれ詮議する「諸獣会合、法世を論ず」という巻があります。そこから、キツネ、ねずみ、猫の三種の動物のことばを聞きながら、ダンス・身体表現と、ピアノ音楽が、並行します。そして河合の2018年作の「猫何」(元は「猫はいつも何ものでもない」というラップ曲だった)の新編曲に移ります。

8. ソング「だんでぃらいおん」
ヴォーカルとピアノのデュオで、昨年作詞作曲したソングの初演です。(だんでぃらいおんはタンポポですね。名の由来は"獅子の歯"だそうです)。

プログラム構成(流れ)のご紹介(3)2023年12月03日 22:48

9. 群読/音「八門と八根」
2で語った八門(顔の八つのパーツ)は、内臓や身体の部分(四肢など)にとっての「根」であると言います。掛け合いのような群読に、さまざまな音色の音が呼応します。身体表現も絡みます。

10. 群読「眼と耳」→ 歌「眼は木気、耳は水気」→ 群読「耳と眼」→ 歌「耳は水気、眼は木気」
眼と耳の関係には深いものがあります(昌益的に言うと、互性の関係にあります)。そしてその理由を、眼球のなかは水が満ちていて、水の気による器官は耳だから、眼(視ること)の本質には耳(聴くこと)が伏在しているのだ、などと語ります(昌益は医者でした)。
そんなことを、会話劇風に、まず眼の側から語り、そして昌益の書いた言葉を歌います(「眼は木気、耳は水気」)。また今度は、耳の側から会話劇風に語り、そして(ちょっと義太夫風味で)歌います(「耳は水気、眼は木気」)。

11. インストラクションによる即興「互性パフォーマンス」
相対すると見える二物は、実際には別ではなく、むしろ互いの本質に入り込んでいるということを、昌益は「互性」と言っています。出演者全員が、さまざまなペアを作りながら、会場全体を使って同時多発的なパフォーマンスを行います。

12. 器楽四重奏「四行転回の楽」
四行の絶え間ない運動のひとつの現れとして、ピアノを中心にした音楽です。

(画像は「四行転回の楽」の一部)

プログラム構成(流れ)のご紹介(4)2023年12月03日 23:01

13. 群読「昼夜、季節、星」→ 歌「炉内-面部-直耕」
囲炉裏や顔にあらわれている四行のエネルギー(活真と言います)。それは、例えば昼/夜の交替という一日の時間、季節の交替という一年の時間、にも常にとどまることなく精妙に推移する働きとして、あらわれています。また星と星の関係性とも響き合っています。直耕は、元々はひとがみずから耕し収穫し調理し摂取することを言う昌益の用語ですが、本来的な働きを表して、例えば「日(太陽)は直耕する」という言い方にまで広げられます。
"自然・転定・活真の妙行は、直耕の一道にして、まったく二道なく、その至証、炉内・面部なり"(自然、天地を満たすエネルギーの働きは、元来ただ「直耕」するもので、それ以外の原理はなく、それを実によく証明しているのは、囲炉裏であり、顔である)。
群読チームの語りと歌(ピアノ伴奏)です。

14. ソング「丸く沈む」
ヴォーカルとコーラス、そしてピアノによる2020年作のソング初演です。

15. 器楽四重奏「土活真の楽」→ 群読「生死」
活真のエネルギーは「土」を根本としているので、土活真とも言われます。(人体では胃が根本なので、人体に働くエネルギーを表すときには、胃活真とも言われ、人家のなかでは囲炉裏が根本なので、炉活真とも言われます)。器楽四重奏が「土」から推移するエネルギーを奏で、最後には群読チームも鍵盤ハーモニカでそこに加わります。
エネルギーが推移する有り様は、さまざまな様態であらわれているわけですが、"生き死に"も当然その最たるもの。"生死は互性の名であり、活真の妙体である"と語られます。

16. ソング「よもぎだんご」
最後は、総出演で2020年作のソング。"よ・も・ぎ尽くしのラップフレーズ"を織り込んで、楽しげなリフレインが回帰します。聴衆も唱和していただいてOK😀